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「これは、その」
しどろもどろに言うマスズにヤエは笑ってみせた。
「ナの人は湯から出た作法かなにかのかしら」
「いえ、そーゆわけでは。」
ここで訂正しておかないと、ナの国のことであらぬ噂ができそうだ。
マスズはヤエの案内で部屋に案内された。
白木の廊下を渡る時に、歩きにくて仕方がなか った。
前方を歩くヤエを見て、小幅を抑えて歩いた。
(いつもより時間をかけて歩いているような気もする。)
部屋にたどり着くと、オババ様が座して待っていた。
ヤエがオババ様の対面に座るとマスズもそれに倣いヤエの横に座した。
ちょうど、真正面にオババ様の顔がある。
「マスズ殿、お主はヤエに命の借りがあるの。」
「はあ、まあ。そうなりますね。」
オババ様は、ずいっとマスズの方に顔を近づけた。
「ならば、早速ではございますがその命の借りを返して頂きたいのです。」
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