はじまり

9/38
前へ
/38ページ
次へ
◇◇◇ 従兄弟の嫁になるのが嫌で逃げだした自分が花嫁の護衛とは笑えてくるな。 と思いつつ倉庫をぐるりと見渡した。 倉庫には水晶の丸玉や勾玉の腕輪に首飾り、装飾品が並び竹簡がところ狭しと積み上げられている。 反対には、剣や短刀がずらりと壁にかけられている。 武骨なものから華美な装飾まで盛りだくさんだ。 マスズは装飾品には一切目を向けず剣を見定めた。 オババ殿から好きなものを選んで来いと言われたのだ。 ヤエはこの場所には入れないということで外で待機している。 マスズはまず、武骨な長い剣を手に取った。 手にずしりと重みがある。 (…これをたおやかな巫女さん方が振るうのだろうか。) 想像ができないな、と剣を元に戻した。 しかし、ここは男子禁制の巫女の家。 (戦を予見してのこの蓄えだろうか。) しばし、口に手を当てて考え込む
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加