真実だけでは

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「ありがとう!これ、りいな欲しかったやつだよ!これね、変身できるんだよ!」 りいなの好きな魔法少女のステッキだった。 りいなはそれを振ってみる。 キラキラしてすごく可愛かった。 「わーりいな、良かったね!」 「うん!」 「いつもごめんねえ」 ママはタカさんにお礼を言う。 その口調はいつも全然申し訳なさそうじゃない。 「いいんだよ。喜んでもらえれば」 タカさんは満足した顔。 そしてご飯を食べ終えると、りいなの家まで送ってくれる。 その車の中で、タカさんはママの体を触る。 りいなはそれを見ないフリしないといけない。 よけいな事を言うと怒られることをりいなは知ってる。 大人だから。 そしてりいなを家に置いて、ママはタカさんと「お仕事」に行く。 りいなはちゃんと鍵をかけて、 お留守番する。 タカさんからもらったおもちゃをぽいっと投げて、 お気に入りのぬいぐるみを抱いて布団にくるまって寝る。 ママはりいなが寝ている間に帰ってくる。 毎晩のことだからもう慣れた。 こうしていると、 「りいなは良い子だね」って褒めてもらえる。 ママに褒められたいから、りいなはわがままを言わない。 1人で寝られる。 どんなに寂しくたって。
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