第6話 織姫のシュークリーム

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「ああ、まだいたのか、お前たち」  葉月がすっとうつむいて、その頬がうっすらと赤く染まる。 「司書の先生が用事で来れなくなったから、俺が代わりに戸締りに来たんだ。もう遅いから、帰る支度をしなさい」  そう言って中に入ってきたのは、赤星先生だった。 「あっ、えっと、もうそんな時間だったんだ」  私はなぜかすごくあせってしまった。だってここで先生が登場するとは思っていなかったから。  葉月は顔を赤くしたまま、うつむいている。  葉月、いつも先生の前でこんなだったの? いままで気にしていなかったから、わからなかったけど。  それとも私が『想いを伝えたほうがいい』なんて言っちゃったから?  私はちらりと葉月のカバンを見る。あの中にはシュークリームが入っている。渡すなら今だ。あのシュークリームを渡せば……先生とうまくいくのかも…… 「ほら、織本も……早く支度しなさい」 「はい……」  葉月が机の上を片付け始める。 「あとでもう一度来るから。気をつけて帰れよ」  先生はそう言って出て行ってしまう。  どうしよう。引きとめたほうがいいのかな……
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