第7話 絡まり合う心

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「じゃあさ、紅子ちゃんはきょうだいっているの?」 「いえ、一人っ子です」 「あー、なんかわかる! 両親に大事に育てられたって感じする!」  昼休みの中庭。お弁当を食べる私と恋野くんの間に、最近一人の女の人が入ってくるようになった。  『朝丘(あさおか)虹乃(にじの)』さん。私より一つ年上の三年生。  明るいショートヘアはくるくるとしたくせ毛で、カラフルなヘアピンをたくさんつけていて、制服のブレザーの代わりにいつもピンクのカーデガンを着ている人。  明るくておしゃべりで、ころころ表情が変わって、なんていうか……名前の通り虹みたいな人だ。  そしてよくわかんないけど、恋野くんのお友だちらしい。 「虹乃ー、お前うるせぇよ。どっか行け」 「は? 私は紅子ちゃんとおしゃべりしてるだけじゃん。大雅こそどっか行きなよ」  恋野くんはブスっとした顔で、食べ終わった焼きそばパンの袋をぐしゃっとつぶす。 「じゃあさ、じゃあさ、紅子ちゃんは」  そんな恋野くんにはお構いなく、また虹乃さんが話しかけてきた。 「好きな人って、いるの?」  心臓がなぜかどきんとする。 「えっと……」  虹乃さんがくりくりした丸い目で、私のことをじっと見ている。  すると古いベンチをぎしっと揺らして、恋野くんが立ち上がった。 「俺、どっか別のとこで寝る」 「あっそ、じゃ、ばいばーい!」  じろっとにらみつけた恋野くんに、虹乃さんはにこにこしながら手を振っている。恋野くんは「ちっ」と舌打ちして、どこかへ行ってしまった。
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