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翌朝、私は登校する前、猫神さまの神社に向かった。久しぶりに猫神さまが、夢に出てきて私を呼んだのだ。
昨日はいろんなことを考えてしまってなかなか眠れなかったから、私は目をこすりながら猫神さまの神社に行った。するとそこにはもう恋野くんが来ていて、私に向かって怒鳴ってきた。
「おっせーぞ、お前」
「早いね……恋野くんは」
虹乃さんが言うように、普段の恋野くんは何事もやる気がなさそうだ。授業はサボるし、昼休みが終わっても中庭で寝てるし、だいたいいつもつまんなそうな顔をしている。
だけど……猫神さまに言われた縁結びのお仕事をしている間は、なんだかいきいきとしているような気がするんだ。
今日だって私より早く来ているし。やる気満々としか思えない。
すると恋野くんの陰に隠れて見えなかった猫神さまが、こほんと咳ばらいをして私たちに言った。
『お前たちにまた仕事を授けるにゃ。昨日ここにお願いをしにきた人間の、縁結びをしてあげるにゃ』
「まったくわかんねぇんだよなぁ。どうしてみんなこんなボロ神社に、縁結びの神さまがいるって知ってるんだよ。ネットにでも情報のせてるのか?」
『いいからニャーの話を聞くにゃ!』
猫神さまが恋野くんのことをじろっとにらんでから続ける。
『お願いをしに来た女の名前は『朝丘虹乃』というにゃ』
「えっ、虹乃さん?」
私は思わず声を上げた。恋野くんもぽかんとしている。そんな私たちに向かって猫神さまが言う。
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