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どうしようかすごく悩んだけど、どうしても気になって、私は病院の中まで入ってしまった。外来の待合室を抜け、糸は階段の上の病室のほうまでつながっている。
胸がすごくドキドキした。きっとこの病院に入院している人なんだと思った。すごく悪いことをしている気持ちになったけど、私の足は止まらなかった。
七階のフロアまで来ると、病室の中に糸が続いていた。
「どうしよう……」
病室の前で立ち止まる。さすがに中まではのぞけない。
入り口にはプレートがかかっていた。『小鳥遊結衣』という名前が書いてある。もちろん聞いたこともない名前だった。
その時突然病室のドアが開き、私はびっくりして立ち尽くす。
「あら……」
中から出てきた女の人も立ち止まる。そして私の着ている制服を見てつぶやいた。
「その制服……うちの学校の……」
「え……」
「あ、ごめんなさい。私になにか用ですか?」
白いパジャマを着た、長い黒髪の女の人が、そう言って私に微笑みかけた。
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