第7話 絡まり合う心

14/26
前へ
/185ページ
次へ
「あ、あの。私がこんなこと言うのもなんですけど……学校辞めないでください。私二年生だから、結衣さんが学校に来たら友だちになります」  結衣さんは少し驚いた顔をしたあと、にっこり微笑んでくれた。 「ありがとう。実は幼なじみの男の子にもね、学校辞めるなって言われてて」 「え、幼なじみの男の子?」 「うん。恋野大雅っていう子なんだけど、知らないよね?」  知ってる。知ってる。知ってます!  心の中で叫んだ私の耳に、ドアをノックする音が聞こえた。「はい、どうぞ」と結衣さんが澄んだ声で言うと、ドアがガラッと音を立てて開いた。 「えっ」  その瞬間、私は驚いて立ち上がってしまった。だってそこには恋野くんが立っていたから。 「は? なんでお前ここにいるんだよ!」  恋野くんが大声で言った。結衣さんがあわてて指を口に当て「しー」っとなだめる。  私は肩をすくめて縮こまった。 「もしかして、大雅と紅子ちゃん、知り合いだったの?」 「知り合いっていうか……なんていうか……」  恋野くんが病室の中にずんずん入ってきて、私の顔をのぞきこみ、同じことをもう一度言った。 「なんでお前、ここにいるの?」  私はさらに肩をすくめる。 「あのね、紅子ちゃんは親戚のお見舞いに来てて……」 「親戚のお見舞い?」  恋野くんが私のことをにらみつける。全然信じてない顔で。だけどここで赤い糸の話なんてできない。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加