第7話 絡まり合う心

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「そ、そうだよ。親戚のお見舞いに来てたの。それで偶然結衣さんに出会ったの」 「ふうん?」 「恋野くんは……結衣さんと幼なじみなんだってね?」  話をそらすようにそう言うと、恋野くんが不満そうに答えた。 「そうだけど、悪い?」 「ちょっと大雅。どうして紅子ちゃんにそんな言い方するの?」  いつもこうなんですけど……結衣さんの前では違うのかな?  恋野くんは結衣さんに向かって、持っていた箱を差し出した。 「これ。結衣が食べたがってたケーキ」 「わぁ、買ってきてくれたの? うれしい! ありがとう」  恋野くんの手から結衣さんの手に、ケーキの箱が渡される。  このケーキ屋さんって、すごく人気があって、並ばないと買えないところだ。恋野くん、結衣さんのために並んで買ってきてあげたのかな……  なんだか胸の奥がきりきりする。  恋野くんって、きっと結衣さんにはやさしいんだ。 「じゃ、俺は帰るから」 「え、もう帰っちゃうの?」 「それ渡しに来ただけだし。来週には退院できるんだろ?」 「うん」 「よかったじゃん」  結衣さんがちょっと戸惑うような表情をする。恋野くんはそんな結衣さんを励ますように言った。 「学校で待ってるから。ちゃんと来いよ」  そして後ろを向いて、さっさと病室を出て行ってしまう。 「あ、私も……」  咄嗟に私も言ってしまった。 「ごめんなさい、結衣さん。私も帰ります。あの、また学校で会いましょう」 「そうね。ありがとう、紅子ちゃん」  結衣さんが静かに笑って、手を振ってくれた。私も手を振って、急いで外へ出た。
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