第7話 絡まり合う心

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「俺、わかってたから。きっと結衣は俺のこと軽蔑するけど、それでも心配してくれるってわかってたから。他のやつなんかどうでもいい。とにかく結衣に、俺のこと気にして欲しかったんだ」  私の胸が痛くなる。欄干の上に乗せた手を、ぎゅっと強く握りしめる。 「だけど高校入った頃、そんな自分が死ぬほど嫌いになった。こんなことしてもなにも変わらないのに……なにやってるんだろ、俺って……」  恋野くんが欄干の上に顔を伏せた。私はそんな恋野くんに言う。 「でも糸が切れれば……あの二人は別れるよ」  恋野くんの背中がかすかに揺れる。 「恋野くんは結衣さんの指に結ばれてる糸に、切れて欲しいと思わないの? あの糸が切れて、優雅さんが虹乃さんと結ばれれば、結衣さんはフリーだよ。恋野くんは結衣さんと付き合えるかもしれないんだよ?」  私は恋野くんの白いシャツを見つめる。  しばらく黙り込んだあと、恋野くんがゆっくりと顔を上げた。 「切れて欲しくないよ」 「どうして?」 「結衣は優雅のことが好きだから」  恋野くんが私の顔を見る。 「俺は結衣の悲しむ顔は見たくない」  ああ、そうか。そうだよね。  私もそう思ったから。桜庭先輩には幸せになって欲しいって思ったから。
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