第7話 絡まり合う心

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「じゃあ……やめようか」  私はポケットの中の赤い糸を取り出した。 「これを優雅さんと虹乃さんに結ぶの、やめちゃおうか」 「だけどそれだと……」  恋野くんが静かに自分の指を私に見せる。 「これ、切ってもらえなくなる」 「うん……」  猫神さまの言うことを聞かないと、私たちの糸はずっとつながったまま。 「でも恋野くんがいいなら……私はいいよ」  恋野くんがまた黙った。 「恋野くんのやりたいように、していいよ」 「だったら……」  私の持っている糸を、恋野くんが手に取った。そして川に向かって手を伸ばし、それをそっと手放した。  赤くて細い糸は、かすかな風にあおられながら、頼りなく流れの中へ落ちていく。 「この仕事放棄して、この糸も切ってもらう」 「え」 「あのクソ猫に頼んで、そうしてもらおう?」  恋野くんがそう言って、なんだか寂しそうに笑った。
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