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「うるさいな。私が誰を好きになろうと、あんたにはカンケーないじゃん」
「優雅には結衣がいるって、お前だって知ってるだろ? それにお前がほんとに優雅のこと好きだとは思えない」
「は?」
虹乃さんはじっと恋野くんの顔を見つめたあと、あははっと声を上げて笑った。
「まぁ、そう思われてるなら、それでもいいけど。でも私が優雅とうまくいったら、あんただって嬉しいでしょ? もしかしたら結衣ちゃんと付き合えるかもしれないもんねぇ?」
「そんなこと思ってねぇよ」
「はぁ? 結衣ちゃんのこと好きなくせに。あの二人が別れればいいって思ってるくせに。いまさらいい子ぶらないでよ!」
虹乃さんが恋野くんの肩をぐいっと押して、黒板に押し付けた。これは……逆壁ドンってやつだ。
そしてさらに虹乃さんは、恋野くんのネクタイをぐいっとつかみ上げ、にらみつけた。恋野くんは抵抗もしないで、虹乃さんにつぶやく。
「ほんとにそんなこと思ってないんだよ」
「嘘! 結衣ちゃんを優雅に取られたから、あんたそんなクズ男になっちゃったんでしょ?」
「クズ男って……まぁ、結衣のことは好きだったけど……でもいまはほんとに、別れて欲しいとか思ってないから」
虹乃さんが唇を噛みしめた。そんな虹乃さんに恋野くんが言う。ネクタイをつかまれたまま。
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