第8話 君が幸せになるように

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「まさか……結衣さんと別れてしまったんですか?」 「え……」 「結衣さんと別れたんですか?」  気持ち悪いものでも見るような目で私を見てから、優雅さんがぽつりと言った。 「僕と結衣が付き合ってること、大雅から聞いたのか?」  まさか糸を伝って行ったとは言えなくて、私はあいまいにうなずいた。  すると優雅さんが、小さくため息をつき答えてくれた。 「そうだよ。結衣とは昨日別れた」 「どうして……」  私は優雅さんの手を離す。  虹乃さんは優雅さんと付き合おうとしたけどやめた。猫神さまも取り消されたと言っていた。だから虹乃さんが二人の仲を壊したわけではない。  それなのに結衣さんと別れてしまったなんて……どうして……  優雅さんは小さくため息をついて、私に言った。 「僕から頼んだんだよ。別れて欲しいって」 「え……」 「結衣が悪いわけじゃない。僕が……つらくなってしまったからなんだ」 「つらくなった?」  優雅さんはふっと私に笑いかけて、後ろを向いた。 「もういいだろ。これくらいで勘弁してくれよ」  そして一人で校舎の中へ入っていく。私はその背中を見送ってから、三年生の教室へ向かって走った。
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