第8話 君が幸せになるように

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「だめっ! もう喧嘩はしないって言ったでしょ!」 「うるせぇ、離せ! 俺は昔っからこいつが気に入らねぇんだよ! いつだっていい子ぶって、いいとこどりしやがって!」 「は? 気に入らないのはこっちだ。小さい頃から僕の周りをちょろちょろして、目障りなんだよ! バカで喧嘩しか強くないくせに、みんなにちやほやされてるところも!」 「ちやほやされてんのはそっちだろ! 優雅くんはお勉強ができて、やさしくてしっかりしてるのねぇって、そればっかり聞き飽きた。もううんざりなんだよ!」 「勉強ができるのは僕が努力してるからだ! お前はなにも努力してない。なにもかも適当なくせに、いつも誰かが心配してくれる」 「心配なんかしてもらえなくていいんだよ! お前には結衣がいるじゃん。俺は結衣が欲しかった!」  優雅さんが黙った。そして静かな声で言った。 「だったらやるよ。ずっと欲しかったんだろ?」  恋野くんの手が優雅さんから離れた。優雅さんが乱れたネクタイを直す。 「あの……」  私はそんな二人に口を出した。
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