129人が本棚に入れています
本棚に追加
「だめっ! もう喧嘩はしないって言ったでしょ!」
「うるせぇ、離せ! 俺は昔っからこいつが気に入らねぇんだよ! いつだっていい子ぶって、いいとこどりしやがって!」
「は? 気に入らないのはこっちだ。小さい頃から僕の周りをちょろちょろして、目障りなんだよ! バカで喧嘩しか強くないくせに、みんなにちやほやされてるところも!」
「ちやほやされてんのはそっちだろ! 優雅くんはお勉強ができて、やさしくてしっかりしてるのねぇって、そればっかり聞き飽きた。もううんざりなんだよ!」
「勉強ができるのは僕が努力してるからだ! お前はなにも努力してない。なにもかも適当なくせに、いつも誰かが心配してくれる」
「心配なんかしてもらえなくていいんだよ! お前には結衣がいるじゃん。俺は結衣が欲しかった!」
優雅さんが黙った。そして静かな声で言った。
「だったらやるよ。ずっと欲しかったんだろ?」
恋野くんの手が優雅さんから離れた。優雅さんが乱れたネクタイを直す。
「あの……」
私はそんな二人に口を出した。
最初のコメントを投稿しよう!