第8話 君が幸せになるように

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 放課後、恋野くんと猫神さまの神社に行った。境内はあいかわらず寂れていて、ひと気がない。  恋野くんは途中で買った焼き芋をお社の前に置き、ぱんぱんっと手を叩いて、目を閉じた。 「お願いします。優雅と結衣の縁を、もう一度結び直してください」  恋野くんの真剣な横顔を見て、私も同じように手を合わせた。  神社に生ぬるい風が吹く。だけど猫神さまは現れない。 「は? なんであいつこういう時に限って出て来ねぇの?」  目を開けた恋野くんがふてくされた顔で言う。 「えっと……キャットフードとかのほうがよかったのかな?」 「じゃあお前、キャットフード買ってきてくれ」 「えっ、なんでよ。恋野くんが神頼みするって言ったんでしょ?」 「お前も協力するって言ったじゃん。だいたい俺たち離れられな……」  恋野くんが小指を差し出し、「あっ」と声を詰まらせた。 「そっか。もう切れてたんだっけ。お前とは」  なにもついていない指を見たあと、恋野くんは手をポケットにつっこんだ。 「とにかくお前、買ってこい」 「やだ。命令しないでください」 「は? お前いつからそんなエラソーなこと言えるようになったんだ?」  恋野くんが私をにらんだけど、私は頬をふくらませた。
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