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恋野くんが考えた、優雅さんと結衣さんを再びくっつける作戦はこうだ。
まず、来週から二年生として登校する結衣さんと私が仲良くなり、結衣さんの指に赤い糸の片端を結ぶ。そして昼休みに結衣さんを屋上に誘い出し、一人でお弁当を食べている優雅さんと対面させ、そのすきに恋野くんが優雅さんの指に糸を結ぶ。
あの二人はまだ想い合っているはずだから、二人きりにさせれば絶対上手くいく、と。
「でも優雅さんは自信がないって言ってたんだよ。うまくいくかなぁ……」
「とにかく無理やりでもなんでもいいから、糸を結んじゃえばいいんだよ。大丈夫。俺がなんとかする」
恋野くんの「なんとかする」はいつも強引だから心配だ。
「じゃあよろしくな」
そう言って私から離れていく恋野くんの背中を、私は黙って見送った。
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