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「わかっただろ?」
そんな私の後ろから声がした。振り返ると優雅さんが立っていた。
「あいつは結衣のちょっとした変化にもすぐ気づくんだ。結衣に必要なのは僕じゃない。大雅なんだよ」
私はぎゅっと唇を噛みしめる。そして思いっきり手を振り上げて、優雅さんの頬をひっぱたいた。
「そんなこと言わないでください!」
優雅さんは頬に手を当てて呆然としている。
「自信がないのなんて、誰だって同じです! 誰だって怖いです! でもそれでもみんな頑張って勇気出して、想いを伝えているんです!」
優雅さんは黙って私を見ている。
「私だってできたのに、どうして優雅さんができないんですか! どうして逃げてばかりいるんですか!」
「なんで……君にそんなこと……」
震える優雅さんの唇を見ながら私は言う。
「私が神さまから縁結びを任されたからです。私がついているから大丈夫です。優雅さんが勇気を出して、素直に自分の気持ちを結衣さんに伝えれば、なにも怖がることはないんです」
「ははっ……」
優雅さんが髪をくしゃっとつかんで、笑い声をあげる。
「縁結びって……さっきからなんなの、それ? まったく意味がわからない」
私は黙って目の前の優雅さんを見つめる。
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