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「だけど君みたいな頼りなさそうな子と、大雅みたいなバカなやつにそこまで言われたら、僕だって黙っちゃいないよ」
優雅さんが笑うのをやめて、私を見た。
「逃げてるなんて言われて、なにもしないでいるわけにはいかない」
「優雅さん……」
「わかったよ。結衣に自分の想いを伝えればいいんだろ。もう逃げてるなんて言わせない」
私は嬉しくなって、優雅さんの前で目を細める。そんな私に優雅さんは頬をさすりながら言う。
「神の使いは、なかなか暴力的なんだな」
「あっ、ごめんなさい! 痛かったですか?」
「痛かったよ。痛くておかげで目が覚めた」
優雅さんがははっと笑って歩き出す。
「ちゃんと……結衣さんに伝えてくださいよ!」
そう叫んだ私に、優雅さんは背中を向けたまま片手を上げた。
「わかってる」
私はそんな優雅さんの姿が見えなくなるまで見送った。
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