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『そのとおりにゃ。ニャーはこの神社に住む、縁結びの神さまなのにゃ』
「縁結びの神さま?」
私と茶髪男の声が重なった。ここの神さまが『縁結びの神さま』だとは、私も知らなかった。ていうか、知ってたら桜庭先輩に告白する前に、縁が結ばれるようにお願いしていた。
『その神がもらったチョコレートを食いおったくせに、反省もしてにゃいとは』
「いやいやいや……ちょっと待って。そんなの信じられないでしょ。神ってなに? これ、夢でしょ? 夢だよね?」
茶髪男がしつこく私に同意を求めてくる。私だって夢だと思いたいけど。
「俺、昨日へんな夢見てさ。なんか猫がめっちゃ怒ってて、神社に来いって言うんだ。気持ち悪いから来てみたらこれだし」
『気持ち悪いとは何事にゃ! ニャーがお前に反省させるため、ここに呼んだんにゃ!』
猫……いや、猫神さまが怒っている。私は茶髪男の肩を叩く。
「と、とにかく、夢でもなんでもいいから、謝ったほうがいいよ」
「は? なんで俺が謝んなきゃなんねーの? てか、神さまだったらチョコくらいでグダグダ言うなよ。けちくせーな」
「ちょっと!」
「だいたい神さまっていうのも怪しいもんだな。縁結びの神とか言ってるけど、ほんとに縁結びなんかやってんの? こんなこぎたねぇ神社で」
私がさらに冷や汗をかきながらお社を見ると、猫神さまがふるふると毛を逆立てながら、うなるような声で言った。
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