129人が本棚に入れています
本棚に追加
恋野くんを引っ張るようにして廊下を走った。私の教室に戻ってみたけど二人の姿はない。どこにいるんだろう。
私たちが行かなくても二人はこのままくっつくかもしれない。だって二人の気持ちは一緒なんだもん。
でも糸はまだ結衣さんの指にぶら下がったまま。こんな中途半端な状態でいたら、なにが起きるかわからない。やっぱりあの糸をしっかり結び付けないと。
空き教室や生徒会室にも行ってみる。だけどどこにも二人はいない。
なんだか嫌な予感しかしなくて、へんな汗が流れてくる。
どうしよう。早く見つけないと、昼休みが終わっちゃう。
「いたぞ!」
窓から外をのぞいていた恋野くんが叫んだ。
「中庭にいる!」
「中庭?」
「行くぞ!」
今度は私の腕を、恋野くんが引っ張った。
最初のコメントを投稿しよう!