第9話 ふたりのラストミッション

5/10
前へ
/185ページ
次へ
 恋野くんを引っ張るようにして廊下を走った。私の教室に戻ってみたけど二人の姿はない。どこにいるんだろう。  私たちが行かなくても二人はこのままくっつくかもしれない。だって二人の気持ちは一緒なんだもん。  でも糸はまだ結衣さんの指にぶら下がったまま。こんな中途半端な状態でいたら、なにが起きるかわからない。やっぱりあの糸をしっかり結び付けないと。  空き教室や生徒会室にも行ってみる。だけどどこにも二人はいない。  なんだか嫌な予感しかしなくて、へんな汗が流れてくる。  どうしよう。早く見つけないと、昼休みが終わっちゃう。 「いたぞ!」  窓から外をのぞいていた恋野くんが叫んだ。 「中庭にいる!」 「中庭?」 「行くぞ!」  今度は私の腕を、恋野くんが引っ張った。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加