第9話 ふたりのラストミッション

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 渡り廊下の端から中庭をのぞく。優雅さんと結衣さんが向かい合って立っているのが見える。 「なに話してるのかな……」 「近づいてみよう」  恋野くんがこっそり茂みに隠れて、這いずるようにして進んで行く。私もそのあとをこそこそと進みながら、桜庭先輩と春菜の縁結びをした日のことを思い出す。あの日もこんなふうに恋野くんとここに隠れていたんだ。 「結衣の話って……なに?」  優雅さんが結衣さんの前でそう言ったのが聞こえた。 「優雅こそ……私に話したいことって……」 「結衣、先に言っていいよ」 「ううん、優雅が先に言って」  恋野くんが私の隣であきれたようにつぶやく。 「なにやってんだ。あいつら。さっさと話せよ」 「お互い警戒しちゃってるんだよ。自分が傷つけられるかもしれないって思って」 「あー、もう、じれってぇな。どっちからでもいいから、さっさと言えっての!」  恋野くんがいらいらしている。私は茂みの中からそっと手を伸ばす。  早くこの糸を結び付けちゃえばいいんだ。そうすればこの二人は結ばれる。
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