第1話 猫神さまと運命の赤い糸

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『わかったにゃ。だったら証拠を見せるにゃ』 「証拠?」  猫神さまが「にゃああああ」と長く鳴いた。ぶわっと強い風が吹く。私は「ひいっ」と小さく声を上げ、肩をすくめた。ざわざわと木がざわめいたと思ったら、私の目の前にピンク色の花びらがはらりと落ちてきた。 「さくらの……はなびら?」  どうして? いまは二月なのに……  思わず手を伸ばし、花びらをつかもうとする。 「え?」  その時私は、指先の違和感に気がついた。よく見ると細い糸が、左手の小指に絡まっている。 「なに……これ……」  糸は長く、赤い色をしていた。その糸の先を目で追うと、私の足元に座り込んだまま、ぽかんとしている茶髪男の姿が見えた。 「え?」  私はもう一度自分の指を確かめる。そしてゆっくりと糸のつながっている先を追いかける。細くて赤い糸は――茶髪男の小指につながっていた。 「な、なにこれ!」  私は思わずさけんでしまった。あわてて糸をほどこうとするけどほどけない。 『それは運命の赤い糸にゃ。人間がほどくことは不可能にゃ』 「は?」  茶髪男がつぶやいて、糸をひっぱる。 「いたっ! ひっぱらないで」 「はぁ? マジでつながってんのか、これ」  茶髪男は指から糸を引っこ抜こうとしたけど、どうしても抜けない。 「うそでしょ? なんでこの人と運命の糸がつながっちゃうの?」 「そうだ、冗談じゃねぇ。さっさとこの糸はずせ!」 『ダメにゃ。お前たちには、ニャーの仕事を手伝ってもらうことにしたにゃ。縁結びのミッションをクリアしたら、その糸をはずしてやるにゃ』 「縁結びのミッション?」  この猫神さまが、縁結びの神さまって本当だったの?
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