第10話 新しい恋の糸は……

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「気になる? 紅子ちゃん」  私ははっとして首を横に振る。 「いえっ! ぜんぜんっ!」  すると虹乃さんが声を上げて笑った。 「私も全然! もうあんなやつに興味ないわ。てかあいつに関わっちゃった私の時間、全部返して欲しいわ」  ほんとかな……虹乃さん、あんなに恋野くんのこと好きだったのに。  虹乃さんは私を見て、ふっと笑う。 「ほんとに不思議なんだけどさ。この前まで一生忘れられないって思うほど大好きだった人のこと、忘れられるってあるんだよ。うーん、忘れるってわけじゃないか。なんていうか、いい思い出に変わるっていうの?」  私はきょとんと虹乃さんを見つめる。虹乃さんはくすっと笑って私の髪をふわふわっと撫でる。 「ちょっと難しかったかな? 紅子ちゃんには」  あ、もしかして私、子ども扱いされてる?  虹乃さんは口を尖らせた私を見て、またけらけらと笑った。 「私も新しい恋するぞー! 大雅より百倍、いや百万倍いい男見つけてやるからなー!」  虹乃さんが叫ぶから、近くを歩いている生徒たちがちらちらとこっちを見た。私は恥ずかしくなって肩をすくめる。 「じゃあ、またね! 紅子ちゃん」 「あ、はい」  呆然とする私を残し、虹乃さんが去っていく。  まっすぐ前を向いて歩いていく虹乃さんは、なんだかすごくカッコよく見えた。
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