第10話 新しい恋の糸は……

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 教室に戻ると、私は葉月に声をかけた。 「葉月、お待たせ。お弁当食べよ」 「うん」  葉月がにっこり笑ってくれる。  最近私は葉月とお弁当を食べている。春菜はあいかわらず桜庭先輩とランチデートだし、結衣ちゃんも屋上で優雅さんと一緒だ。 「でもいいの? 紅子ちゃん」  お弁当を広げながら、葉月が言う。 「最近全然、恋野先輩とご飯食べてないけど」  また聞かれてしまった。 「うん。いいの。もう恋野くんとは……縁が切れたし」 「縁?」 「そう。だからもういいんだ」  私はさっき虹乃さんから聞いた言葉を思い出す。 『新しい恋に落ちたか』  もし恋野くんに好きな人ができたなら。誰かと付き合うことになるのなら。  私はそれを応援してあげなくちゃいけない。  私と恋野くんの指にはもう、運命の糸なんかつながってないんだから。 「だったらそれ、また結んじゃえばいいんじゃないかな?」  突然葉月が言った。 「え?」  私は驚いて、箸を持った手を止める。 「切れたらまた結べばいいよ。だって紅子ちゃん、ほんとは恋野先輩とご飯食べたいんでしょう?」  葉月がほんわかした笑顔で言う。だけど私はそんな葉月の前で首を振る。
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