第10話 新しい恋の糸は……

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「だめ。そんなことできないよ。きっと恋野くんには好きな人がいるし……」 「そうなの? 紅子ちゃん、恋野先輩に聞いてみたの?」  私ははっと顔を上げる。 「紅子ちゃんの気持ち、恋野先輩に伝えてみたの?」  私の顔が熱くなる。目の前の葉月をまともに見れない。 「想いを伝えたらだめなんてことはない。好きになったらだめなんてこともない。そう私に言ってくれたのは、紅子ちゃんだよ」 「葉月……」  葉月が私の前でやさしく微笑む。私の目からなぜか涙がこぼれる。 「私……私ね……」 「うん」  葉月のやわらかな手が、私の手をにぎってくれる。 「恋野くんとまたご飯食べたい。あの中庭で話をしたい」 「うん」 「恋野くんに……会いたいよ……」  葉月の手をにぎりしめてそう言った。葉月は私にやさしく言う。 「だったら会いに行けばいいよ。紅子ちゃんならできるよ」  葉月の声が胸に沁み込む。 「頑張って、紅子ちゃん」  にっこり微笑んだ葉月の顔が、涙でぼんやりにじんで見えた。
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