第1話 猫神さまと運命の赤い糸

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「だ、だったら、この人だけにしてください! 私はカンケーないんですから!」  男がじろっと私をにらむ。  だってそうでしょ? チョコを食べて神さまを怒らせたのはこの人なんだから。私はたまたまここにいただけで。 『たしかにお前に恨みはないにゃ。焼き芋もらった恩もあるにゃ』  やっぱり昨日の猫も、猫神さまだったんだ。 「そうですよね! だったら私は解放してください!」 『ダメにゃ。この男だけでは頼りないにゃ。お前も一緒に仕事してもらうにゃ。二人でなんとか一人前といったところにゃ』 「そんなっ……ひどい……」  私はぺたんと地面に膝をついた。茶髪男がそんな私にぼそっと言う。 「まぁ、もともとはお前があんなところにチョコ置くのが悪いんだろ。あそこにチョコがあったから、俺が食っちゃったわけだし」 「わ、私がチョコを置いたせいだって言うの!」  そこまで言って、口を閉じた。たしかに、私があそこにチョコを置かなければ。私がチョコを作らなければ。私が先輩を好きにならなければ……  ぽろっと涙がこぼれた。涙はかさぶたになった、膝の傷の上に落ちる。  こんなところで泣きたくなんかないのに……もう先輩のことは忘れようとしてたのに……どうしても涙が止まらない。  ぐずぐずと泣き出した私を、茶髪男が見ている。  見ないでよ。恥ずかしい。泣きたくて泣いてるんじゃないんだから。これは勝手に涙が……
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