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「で、どうやってやればいいのかな?」
私が聞くと、恋野くんが首をひねった。
「そうだなぁ……作戦考えるか」
私たちの脇を、同じ制服を着た生徒たちが走り抜けていく。神社で時間を食ってしまったせいで、遅刻ギリギリだ。
「とりあえずお前、この糸の片端を、その友だちの指に結んじゃえよ」
恋野くんが私に赤い糸を渡した。私の手のひらに、ふわっと赤い糸がのる。
重さも感じられないほどの細い糸。だけどこの糸がつながった二人は、結ばれるんだ。
「それで二人をテキトーに呼び出して、そのすきに俺が桜庭の指に片側を結んで終了!」
「そんな簡単にいかないと思うけど」
「大丈夫。放課後二人を中庭に呼び出そう。あとは俺がなんとかする」
どこからくるのかな、その自信は。ていうか、それ作戦って言わないでしょ。行き当たりばったりじゃないの?
私がはぁっとため息をついたら、恋野くんがぼそっと言った。
「でもお前、ほんとうにできるの?」
どういう意味? 私じゃ頼りないっていうの?
「できます! そっちこそ、ちゃんと先輩を連れてきてよね!」
私はそう言い放つと、恋野くんを残し走って教室に向かった。
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