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「ごめんね、ごめんね、紅子。でも私、ほんとに紅子のこと、応援してたんだよ。先輩に勇気を出して告白するって決めた紅子のこと、すごいなぁって思ってて……私は紅子にさえ、自分の気持ちを打ち明けられなかったのに……だからほんとに、紅子が先輩とうまくいけばいいって思ってた」
春菜がうつむいた。
「嘘じゃない。ほんとだよ」
「うん」
私は春菜の手をそっと握る。やわらかくてあたたかい春菜の手。そして私は、春菜の心もあたたかいってことを知っている。
「ありがとう、春菜。でも今度は私に応援させて?」
私はそんな春菜の小指に、そっと糸を巻く。細くて赤い、運命の糸を。
「春菜と先輩がうまくいって欲しい。この気持ちは嘘じゃない。ほんとうなんだ」
春菜が潤んだ目で私を見た。
ごめんね、春菜。私、ずっと自分のことばかり考えてて。
春菜はずっと苦しかったんだよね?
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