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「ごめん。俺、好きな子がいるから」
あれはいまから三十分前。場所は学校の中庭。
昨日親友の春菜と、二時間かけて作ったチョコを差し出す私の前で、桜庭先輩はそう言った。
「だからそれ、受け取れない。ごめんね」
申し訳なさそうに、先輩が言う。
呆然としていた私ははっと気を取り直し、思いっきり首を横に振った。
「いえっ、気にしないでください! お忙しい中、呼び出したりしてすみませんでした!」
ぺこっと頭を下げて、駆け出した。そのまま校門を飛び出し、ただめちゃくちゃに走った。
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