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「はー、めんどくせぇなぁ……」
私の隣から、ため息まじりの声がする。
よく晴れた昼休み。校舎と校舎の間の、中庭にある古いベンチに座って、私は恋野くんとお弁当を食べていた。
最近春菜は桜庭先輩に「一緒にお弁当を食べよう」と誘われていたらしい。それなのに私に気を使って、いつも断っていたそうだ。
それを知った私は春菜に宣言してみた。「私もお弁当食べる人ができたから別々に食べよう!」って。春菜は「それって誰?」とびっくりしていたけど。
それから私は毎日、恋野くんを誘ってお弁当を食べている。恋野くんも暇なのか、もしくは友だちがいないのか、ちゃんと言われた通り中庭にやってくる。
恋野くんとは、次の縁結びの作戦を立てるために会っているだけなんだけど。
「だいたいなんで俺たちが、あんなデブ猫にこき使われなきゃなんねーの? 縁結びはあいつの仕事なんだろ?」
ファーストミッションをクリアした私たちは、数日前に夢に出てきた猫神さまに再び呼び出され、次のミッションを言い渡されたのだ。
恋野くんはぶつぶつ言いながら、食べ終わった焼きそばパンの袋をぐしゃっと丸める。
「またこの前みたいに、強引に結んじゃえばよくね?」
「ダメだよ、そんなの。美しくないって、猫神さまに認めてもらえない」
私は恋野くんの隣で息を吐く。
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