第3話 恋する生徒会長

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「でも恋野先輩って、ちょっとカッコいいよね?」 「えっ!」  思いもよらない言葉に、私は腰を抜かしそうになった。  だってあんなチャラくて不良みたいな男、さわやかなスポーツマンの桜庭先輩に比べたら、全然カッコよくなんてない。 「あれ、紅子はそう思ってないの?」 「思ってるわけないじゃん! 春菜は思ってるの?」 「まぁちょっとは。だって女子生徒の中では有名でしょ、恋野兄弟って言ったら」 「恋野兄弟?」  ぽかんとした私の肩を、春菜がとんとんっと叩く。 「あ、ほら、あの人。恋野兄弟のお兄さんのほう」 「えっ?」  私はまた驚いて、春菜の視線を追いかけた。壇上に男子生徒が立っている。生徒会で会計をやっている人らしい。  さらりとした黒髪で、きちんと結ばれたネクタイ。もちろんブレザーのボタンは開いてなくて、ピアスだってついていない。でも顔は……恋野くんに似てる。  そしてその人が登場した途端、女子生徒からちょっとした歓声が上がった。 「あ、あの人、恋野くんのお兄さんなの?」 「やだ、紅子、そんなことも知らなかったの?」  知らない、知らない。だって私は入学してからずっと、桜庭先輩しか見てなかったんだもん。  そんな私に春菜が教えてくれた。
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