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「ちょっとー! どういうことですか!」
翌日、いつものように中庭にやってきた恋野くんに言った。
「どういうことって?」
恋野くんはパックのイチゴジュースをストローで飲みながら、ベンチにどさっと腰掛ける。私はそんな恋野くんの前に立った。
「お兄さんがいるなんて知らなかった。しかもお兄さん、生徒会の役員じゃん!」
「あー、言ってなかったっけ? お前に」
恋野くんはどうでもいいようにそう言って、袋の中から今日も焼きそばパンを取り出した。恋野くんは毎日飽きもせず、イチゴジュースと焼きそばパンを売店で買ってくる。
「聞いてないよ! でもお兄さんが役員なら、もしかして恋野くんも、生徒会の人たちと仲いいんじゃないの?」
「まさか。仲いいはずねぇだろ。俺は生徒会なんか、興味ねーし」
パンをかじりながら恋野くんが言う。まぁ、たしかに興味なさそうだけど。
「それより作戦どうなった? どうやってあいつらに糸結ぶ?」
「それは……」
「なんだよ、考えてねーの? 使えねぇな」
なんで私がそんなこと言われなきゃいけないの? もういやだ。
ぶすっと頬をふくらませ、ベンチに座った。恋野くんからできるだけ距離をあけて。
「なに? 怒ってんの? お前でも一応怒るんだ」
「ど、どういう意味よ!」
隣で恋野くんがははっと笑った。なんだかおかしそうに。いつも私のこと、にらんでばっかりのくせに。
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