第3話 恋する生徒会長

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「すごい! 結ぶの早かったね」  私は恋野くんの前で手を叩く。かなり強引ではあったけど。 「まぁ、特訓したからな」 「え、特訓?」 「人の指に糸結ぶの、たぶん俺、日本一早いよ」  恋野くんが自信ありげに胸を張って、ははっと笑う。  ああ、この前苦戦していたから、きっと本当に練習したんだ。この人意外と真面目なのかも。 「でももう片方はどうしよう」  相手の男の人、つまり椿会長の想い人は、同じ生徒会の梅谷先輩。  この前壇上で見たはずだけど、あんまり印象に残っていない。たしか眼鏡をかけた、ひょろっと細くておとなしそうな人だったと思う。  会長の指にぶら下がっている糸は、まだそんなに長くなく、伸び縮みなんてしない。だから会長の近くに、梅谷先輩を近づけないといけない。  私と恋野くんの糸のように、自由に伸びてくれるなら、相手の人に結びやすいのに……けっこう面倒くさいんだ。縁結びって。
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