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私はスマホの画面を閉じ、古い石段に座ったまま息を吐く。
冷たい風がびゅうっと吹き、私の頭の上を覆っている大きな木々が、ざわざわと騒いだ。足元に積もっている枯葉は、ぐるぐると踊るように舞っている。
私はぼんやりと周りを見回した。
ここは家の近所の小さな神社。神社といっても、お賽銭箱も鈴も狛犬もない。入口にひっそりと小さな鳥居があって、その鳥居のおかげで、なんとかここが神社だってわかるくらい。
鳥居をくぐると突然うっそうとした森になり、森の一番奥に、手入れもされていない古びたお社がぽつんとある。
小さい頃、お父さんから「ここには猫の神さまが住んでいるんだよ」と聞いたことがあるけど、昼間でも薄暗いし、いつ通りかかってもひと気がない。
だからなんとなく気味が悪くて、普段は近づくことがなかった。そう、普段は。
だけど今日、私は学校を飛び出し、走りながらわんわん泣いてしまっていた。途中でやっと、周りの人たちの憐れむような視線に気づき、あわてて駆け込んだのがこの神社だったのだ。
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