第3話 恋する生徒会長

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「ちょっと待ってください!」  梅谷先輩が立ち止まった。 「先輩をだましたのは悪いと思ってます。ごめんなさい。でも椿会長はそんなに強くないです。さっきだって本当は怖かったと思います」  先輩がゆっくりと私に振り返る。  そう、会長はそんなに強くない。誰にも頼らずなんでもできるんだったら、縁結びの神さまに頼ったりしない。好きな人との縁が結ばれますようになんて、お願いをしない。 「梅谷先輩は逃げてるだけなんじゃないですか? 椿先輩から、逃げてるだけなんじゃないですか?」 「どうして僕が君に、そんなこと言われなきゃ……」  その時、部屋の中から大きな声が聞こえた。 「てめぇ、女だと思って手加減してりゃ、調子に乗りやがって!」  立ち上がった恋野くんがぐいっと強く、会長の腕をつかんだ。 「きゃっ……」  小さな悲鳴を上げた先輩の体が、もう一度壁に押し付けられる。 「かわいくねぇんだよ! お前は全然っ」  その言葉に、会長の顔がひどく歪んだ。いままで見たことのないような、哀しそうな顔…… 「恋野くん!」  私は耐えきれずに部屋に飛び込んだ。 「もうやめ……」  言いかけた私を押しのけて、梅谷先輩が会長の前に立ちはだかる。
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