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「お前さぁ、来るのがおっせーんだよ」
校門を出て、並んで歩きながら恋野くんが言う。
「だって……」
「間を持たせるの大変だったんだぞ。あー、腰いてぇ」
さっき会長に投げ飛ばされて打ち付けた腰を、恋野くんがさすっている。
でも私には、あれが演技だったのか本気だったのか、よくわからなかった。
「ねぇ、もし会長に投げ飛ばされなかったら……あのまま、その……キスとかしてた?」
「は? するわけねーだろ。なんで俺があんなかわいくねー女と」
「かわいいよ」
私はそう言って恋野くんを見る。
「椿会長はすごくかわいいと思う」
梅谷先輩を見つめる時の目。普段と全然違ってた。
恋をしている女の子は、きっと誰だってすごくかわいい。
「どこがだよ」
恋野くんが顔をしかめてつぶやく。
私たちはそのまま並んで歩いて、猫神さまの神社に来た。
猫神さまは今日も姿を現していて、人間のように横向きに寝転がり、のんびりお昼寝をしている。
そんな姿を見た恋野くんが、いらいらした口調で言う。
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