第3話 恋する生徒会長

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 二月も終わりかけた日の昼休み。春のようにあたたかい日差しを浴びながら、私は今日も恋野くんと中庭でお弁当を食べていた。  恋野くんはいつものように焼きそばパンを食べ終えると、ベンチの上にごろんと横になる。 「俺、寝るから」 「じゃあチャイムが鳴ったら起こしてあげ……」 「起こさなくていい」 「また午後の授業サボるつもり?」  恋野くんが目を閉じた。この人、大丈夫なのかな? 授業サボってばかりいて。 「大雅くん! やっぱりここにいたのね」  そんな私たちの前に駆け寄ってくる女の人。 「あ……」  私は思わず声を出してしまった。  目の前にやってきたのは、椿会長だった。だけどなんだか雰囲気が違う。一つにまとめていた髪をほどいてゆるく巻き、コンタクトにしたのか眼鏡もしていない。  私の隣で寝ている恋野くんが、薄目を開けて会長を見た。 「生徒指導の先生が捜していたわよ。昼休みに呼び出されていたんでしょう?」 「あんた、どうしたんだ? その頭」  恋野くんがつぶやいて、会長の頬がほわっと赤くなる。 「ちょっとした心境の変化よ。少しはオシャレしてもいいかなと……」 「いいと思います! すごくかわいいです!」  つい口を出してしまった私を見て、会長がうれしそうに微笑む。 「ありがとう」  私も笑って、寝転がったままの恋野くんを見下ろす。 「ね、そう思うよね? 恋野くんも」  恋野くんは「全然」とつぶやくと、また目を閉じてしまった。  素直じゃないなぁ。会長、こんなにかわいいんだから、かわいいって言ってあげればいいのに。誰だって褒められたら、うれしいはずなんだから。
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