第3話 恋する生徒会長

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「大雅くん、残念だけど、私もうすぐ卒業なのよね」  会長が目を閉じたままの恋野くんに言う。 「だからもう、あなたの面倒はみてあげられなくなっちゃうけど」 「は? 誰が面倒みてくれって言ったんだよ」  恋野くんが勢いよく起き上がって言った。会長はくすっと笑って、恋野くんに向かって言う。 「でも次の生徒会長に、大雅くんのお世話を頼んでおいたから」 「は?」 「ちゃんと言うこと聞くように」  会長が恋野くんの前に立ち、恋野くんの手をそっとつかむ。そして「これ返すね」と、手のひらの上にシルバーのピアスを静かに置いた。 「椿ー」  渡り廊下から男の人の声がする。 「じゃあ、しっかりね。大雅くん」  椿会長は恋野くんと私にそれぞれ微笑みかけると、渡り廊下で待つ梅谷先輩のもとへ駆け寄っていった。 「なんなんだよ、えっらそーに……ムカつく」  恋野くんがぶすっとした顔で、ピアスののった手のひらを握りしめる。 「椿先輩って、恋野くんよりずーっと大人なんだね」 「は? お前だけには言われたくねぇ」  くすっと笑った私の隣で、恋野くんがまた寝ころんだ。 「ねぇ、次の生徒会長って誰だっけ?」 「知らね」  それだけ答えると、恋野くんは目を閉じてしまった。  教室に戻って、春菜に「次の生徒会長って誰?」と聞いたら教えてくれた。  それは「恋野優雅さんだよ」って。
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