第4話 君は僕の安全地帯

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 例年より早く開花した桜が満開になり、それがはらはらと散り始めた頃、私は高校二年生になった。  春菜とは、今年もまた同じクラスだ。他にも仲の良い友だちが多くて、ほっとした。  真新しい制服を着て、ちょっと緊張しながら歩いている新入生を見ると、一年前を思い出す。仲良しの友だちができるかな、新しいクラスになじめるかなって、私もすごく緊張していたっけ。  そしてある朝、私と恋野くんは猫神さまの神社に呼び出され、縁結びのミッションを告げられた。恋野くんはあいかわらず文句を言っていたけれど、猫神さまに認められないと、私たちの糸は切ってもらえない。  猫神さまが口にした名前は『大空(おおぞら)(みなと)』。私は彼のことを知っていた。  同じ学校の同級生でいまは隣のクラス。一年の時は同じクラスだった。  明るくて元気で、サッカー部所属。いつもにこにこしていて、話しやすくて、男友だちも女友だちもたくさんいる。  女の子からは「湊くんって、かわいいよね」なんてささやかれ、人気があった。  だから湊くんが猫神さまに神頼みしたと聞いて、ちょっと驚いた。  神頼みなんかしなくても、湊くんならすぐに彼女ができるような気がしたから。  そしてそんな湊くんの想い人は『早瀬(はやせ)(なぎ)』という子らしい。私はその子のことを知らなかったけど、いま湊くんと同じクラスなんだそうだ。
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