第4話 君は僕の安全地帯

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「こ、恋野先輩を呼んでください!」  三年生の教室に来たのは初めてだった。恋野くんを呼び出すのも初めて。でも早くこの事実を恋野くんに伝えたくて、短い休み時間なのに、こんなところまで来てしまった。 「なにか用?」  ところが出てきた人を見て、私は腰を抜かしそうになった。  その人は、生徒会長の恋野優雅先輩だったから。 「あっ、えっと、すみません……間違えました」  優雅さんは不審そうに私を見たあと、「ああ」とうなずいて言った。 「君、大雅といつも一緒にいる子だね?」  いつもいるわけではないけれど…… 「大雅だったら隣のクラスだよ」 「えっ、でも二組だって聞いたんですけど」 「からかわれたんじゃないの? 二組は僕。あいつは一組」  うそ……ひどい。呆然とする私に、優雅さんがやさしく言った。 「でもいまあいつ、いないと思うなぁ。たぶんどこかでサボってるよ」 「そ、そうですか……失礼しました」 「あ、ちょっと待って、君」  自分の教室に戻ろうとした私を、優雅さんが呼び止めた。 「君さ、大雅と付き合ってるの?」  私はぎくっと肩をふるわせ、思いっきり首を横に振る。 「ち、違います! 付き合ってなんかいません!」 「そっか。ならいいけど」  優雅さんがさわやかに笑って私に言った。 「あいつはやめといたほうがいいよ。何人も泣かされた女の子見てきたから」  私は呆然と立ち尽くす。 「それじゃあ」  優雅さんは私に片手を上げて、教室の中に入っていった。
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