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「あ、あのね。湊くんの好きな人なんだけど……」
「ああ、凪って子? どんな子だった?」
「それが……男の子だったの」
「は?」
恋野くんがぽけっと口を開けて私を見た。私の頭に湊くんの顔が浮かんで、またドキドキしてきた。
「ねぇ、これっていいのかな? だって男の子同士だよ? おかしいよね?」
すると恋野くんはまた顔をしかめて、そして言った。
「どこがおかしいんだよ。別にいいじゃん」
私は恋野くんがそう言うとは思ってなかったので、すごくびっくりした。
「だってあの猫神、男女の恋愛とは言ってなかったし。男同士だろうが女同士だろうが、好きならそれでいいんじゃね?」
声も出せずに、私は恋野くんの顔を見つめる。
「まぁ自分の知ってる世界が、この世の中のすべてじゃないってこと」
「あ、あの……」
私はなんとか声を振り絞って、恋野くんに言った。
「すごいね、恋野くん! 私恋野くんのこと見直したよ!」
「はぁ?」
「そうだね。私は自分の知ってる世界がすべてだと思ってた。でも違うんだ。違う世界もあっていいんだ」
恋野くんはあきれたように私を見てから、ふんっと目をそむけた。
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