第4話 君は僕の安全地帯

8/18
前へ
/185ページ
次へ
「で? どうやってそいつらに糸結ぶ?」 「それは……」 「またこの前の作戦で行くか? 俺が襲うふりして、それを助けて……」 「男が男を襲って、男が男を助けるって……ややこしくなるからやめて」 「じゃあ……」  恋野くんがまた、いたずらを思いついたように笑う。 「女を投入して、嫉妬させよう」 「は? なにそれ」  恋野くんはずいっと私に体を近づける。私はそれを避けようとしたけど、なぜか動けない。 「お前が凪ってやつと仲良くするふりをして、湊に嫉妬させ、その勢いで告白させる」 「やだよ、そんなの。湊くんをだますのも、凪くんをだますのも、いや」  恋野くんが機嫌悪そうに、むすっとする。 「じゃあお前が考えろ。俺はもう考えない」  なによ。さっきちょっと見直してやったのに。  すぐすねる恋野くんは、やっぱりどうしようもない人だ。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

129人が本棚に入れています
本棚に追加