第4話 君は僕の安全地帯

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 私は手を伸ばし、湊くんの手を握った。湊くんがはっとした顔をする。 「湊くんは覚えてないと思うけど……入学して初めて私に話しかけてくれたの、湊くんなんだよ」 「え?」 「覚えてないでしょ?」  湊くんが困ったように笑う。 「ごめん」 「いいよ。でも私はすごく嬉しかったの。知らない人ばかりで心細かったから。その時、私すごくホッとしたんだよ」  私は湊くんの小指に赤い糸を結び付けると、その手をそっと離した。 「だからきっと……湊くんもその人にとっての、安全地帯かもしれないよ?」 「花園さん……」  湊くんは私の名前をつぶやいたあと、いつもみたいににっこり笑った。 「ありがとう! なんか元気出た」 「そう? よかった」 「じゃあ、俺、部活行くから」 「うん。がんばってね」  私が小さく手を振ると、湊くんも手を振って走って行った。  湊くんには笑っていて欲しい。そして凪くんと上手くいって欲しい。
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