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「ずいぶん大胆だなぁ……こんなところで男の手なんか握りやがって」
はっとして振り返ると、そこに恋野くんが立っていた。
「誰が嫉妬してるか、わかんねぇぞ?」
「へ、へんな意味はないもん。湊くんには、元気出して欲しかっただけ」
「まぁ、糸結べたからいいか」
すると近づいてきた恋野くんが、いきなり私の肩を抱いてきた。私はびくっと体を震わせる。
『何人も泣かされた女の子見てきたから』
いまさらあのお兄さんの言葉を思い出し、ビクビクしてしまう。
恋野くんって見るからにチャラいもん。何人もの女の子と付き合って、何人もの女の子をフッてきたのかもしれない。
だからこういうこと、平気でするんだ。
「お前はその調子で湊のやつを応援してやれよ。そのうち告白しようって気になるだろ? そしたら凪に糸の端っこを結んでやればいい」
「う、うん」
「そういうわけで、よろしく」
恋野くんが私の耳元でささやいて、ぱっと離れて行ってしまった。
私はその場にへたりと座り込む。
なんなの、いまの……なんで今日はあんなに接近してくるの?
あんなことされたら……心臓がドキドキしすぎて、苦しくなる。
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