第4話 君は僕の安全地帯

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「昨日はごめんね。なんか情けないこと言っちゃって」 「ううん」  私は首を横に振る。情けなくなんかないよ。湊くんはいつも頑張っているんだから。 「あのさ、俺……今日、思い切って告白しようと思うんだ」 「えっ、ほんとに?」  湊くんは私の前でうなずく。 「花園さんのおかげで勇気出たよ」  そう言ってもらえると嬉しい。 「大丈夫。きっとうまくいくよ」  私の声に、湊くんが笑ってうなずく。  大丈夫。きっとうまくいく。あとは凪くんの指に…… 「なにやってんの?」  突然声が聞こえてドキッとした。振り向くと、教室の入口に凪くんが立っていた。  凪くんはなぜかすごく怒った顔をしている。 「花園さん」 「は、はいっ」  ドキドキしながら返事をする。凪くんと話すのは初めてだ。 「どういうつもり?」 「え?」 「花園さんには彼氏いるのに、湊にまで手を出して」 「えっ、それはどういう……」  凪くんが私と湊くんの間に立つ。 「花園さん、あの不良みたいな先輩と付き合ってるんでしょ? お昼もいつも一緒に食べてるし、昨日だって湊の手を握ったあと、すぐ彼氏に肩抱かれてたし」 「凪?」  湊くんがぽつりとつぶやく。 「見てたの? 昨日……」  凪くんは顔を赤くして、それから一気に言う。 「花園さんはずるいよ! 彼氏いるんだったら、もう湊にちょっかい出さないでよ!」  私……湊くんにちょっかい出してると思われてる?
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