第4話 君は僕の安全地帯

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「花園さーん!」  数日後、私は湊くんに声をかけられた。その隣には凪くんがいる。私はぎょっとして立ち止まる。 「花園さん、元気だった? 最近会わないからさ」  湊くんは何事もなかったかのように、にこにこと話しかけてくる。私は耐えきれなくなって、二人の前で頭を下げる。 「あのっ、この前はごめんなさい! でも私、湊くんにちょっかい出すとかそんなつもりは全然なくて」 「えー、なに謝ってるの? 花園さん。俺たちそんなこと全然思ってないって」 「え……」  顔を上げると、湊くんがまたにっこり笑った。 「花園さんはそんな人じゃないよって、凪にもわかってもらえたよ。花園さんは俺のこと応戦してくれたんだって。応援してもらえたから、俺は凪に……」  そこまで言った湊くんが顔を赤くする。凪くんがそんな湊くんの肩をぽんっと叩く。 「花園さん」 「はいっ」  凪くんに声をかけられ、びくっとしてしまう。 「僕たちの関係は、とりあえず内密に。湊のファンにいやがらせされたら困るから」 「わかりました!」  凪くんが湊くんに「行こうか」と言って、湊くんは「うん」とうなずく。 「じゃあ、花園さん、またね」 「うん、また」  凪くんがじろっと私をにらんで、私はまたびくっとしてしまう。でも凪くんはすぐににやっと笑ってこう言った。 「あの不良みたいな彼氏によろしく」  彼氏じゃないのに……  私は小さく手を振って、二人を見送る。去っていく二人の小指には、赤い糸がしっかりと結び付いていた。
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