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「俺、いつからお前の彼氏になったんだっけ?」
恋野くんが私を見て、からかうように笑う。だけど私はそんな恋野くんから、視線をそらして言った。
「恋野くんが悪いんだ」
私はぎゅっと手を握る。自分の手が震えていることに気づく。
「恋野くんがまた喧嘩しようとするから……だから私はそれを止めようとして……」
怖かった。男の人が怒鳴り合うのも、殴り合おうとするのも……
「紅子?」
恋野くんの不思議そうな声が聞こえる。私は恋野くんの顔を見ないまま、うつむいてつぶやく。
「もうこんなの……やめて」
背中を向け、恋野くんを残して走り出す。
「おい、紅子!」
後ろから恋野くんが私を呼んだけど、立ち止まらずに走って逃げた。
恋野くんといるとドキドキしてひやひやして……なんだかすごく疲れる。
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