第5話 不屈の男

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「俺、いつからお前の彼氏になったんだっけ?」  恋野くんが私を見て、からかうように笑う。だけど私はそんな恋野くんから、視線をそらして言った。 「恋野くんが悪いんだ」  私はぎゅっと手を握る。自分の手が震えていることに気づく。 「恋野くんがまた喧嘩しようとするから……だから私はそれを止めようとして……」  怖かった。男の人が怒鳴り合うのも、殴り合おうとするのも…… 「紅子?」  恋野くんの不思議そうな声が聞こえる。私は恋野くんの顔を見ないまま、うつむいてつぶやく。 「もうこんなの……やめて」  背中を向け、恋野くんを残して走り出す。 「おい、紅子!」  後ろから恋野くんが私を呼んだけど、立ち止まらずに走って逃げた。  恋野くんといるとドキドキしてひやひやして……なんだかすごく疲れる。
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