129人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日のお昼休み、私は中庭に行かなかった。恋野くんとお弁当を食べるようになってから、雨が降る日以外に中庭へ行かなかったのは、今日が初めてだ。
昨日別れてから、恋野くんには会っていない。会って話したい気持ちと、このまま会いたくない気持ちが、心の中でぐちゃぐちゃに絡まり合っている。
そんな気持ちのまま午後の授業を終え、ため息をつきながら帰る支度をしていると、先に教室を出たはずの春菜が駆け寄ってきた。
「紅子! 恋野先輩が紅子のこと呼んでるよ」
「え?」
見ると教室のドアのところに、不機嫌そうな顔つきの恋野くんが立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!