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恋野くんと向かい合って、廊下の端に立つ。廊下を歩く同級生たちが、私と恋野くんのことをちらちらと見ている。
「なんで昼、来なかったんだよ。待ってたんだぞ?」
私が黙っていたら、恋野くんがつぶやいた。
「まだ怒ってんの? 昨日のこと」
恋野くんが深く息を吐いたのがわかった。きっと面倒くさいと思ってる。
「絡んできたのは柿沢のほうだろ? 俺はなんにも手ぇ出してないし。それにこんなことになったのは、あの猫神がこき使うせいだし」
「でもいやなの」
私は恋野くんの前で口を開く。
「私は恋野くんが傷つくのも、誰かを傷つけるのも見たくないの!」
恋野くんが黙って私を見ている。私はうつむいてぎゅっと唇をかむ。
やばい。なんだか泣きそうだ……
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