第5話 不屈の男

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 恋野くんと向かい合って、廊下の端に立つ。廊下を歩く同級生たちが、私と恋野くんのことをちらちらと見ている。 「なんで昼、来なかったんだよ。待ってたんだぞ?」  私が黙っていたら、恋野くんがつぶやいた。 「まだ怒ってんの? 昨日のこと」  恋野くんが深く息を吐いたのがわかった。きっと面倒くさいと思ってる。 「絡んできたのは柿沢のほうだろ? 俺はなんにも手ぇ出してないし。それにこんなことになったのは、あの猫神がこき使うせいだし」 「でもいやなの」  私は恋野くんの前で口を開く。 「私は恋野くんが傷つくのも、誰かを傷つけるのも見たくないの!」  恋野くんが黙って私を見ている。私はうつむいてぎゅっと唇をかむ。  やばい。なんだか泣きそうだ……
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