第5話 不屈の男

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「どうするの? このままじゃ柿沢先輩、桃香ちゃんのことあきらめちゃうよ」  校舎を出て恋野くんと歩く。恋野くんは晴れた空を見上げてつぶやく。 「まぁ、なんとかなるだろ。とりあえず糸の片方はあいつの指についてるんだし」 「でも、柿沢先輩がやる気になってくれないと……」  その時、近くのコンビニの陰に、学ランを着た他校生の姿が見えた。あの人たち、見たことがある。見るからにガラの悪そうな……前に恋野くんと喧嘩していた人たちだ。 「あっ……」  私はその場に立ち止まり、恋野くんの制服を引っ張る。 「なんだよ」 「あれっ、桃香ちゃんじゃないの?」  桃香ちゃんは三人の男に囲まれて、絡まれているみたいだった。おびえたような表情で、震えている。 「た、たすけてあげて!」  私は恋野くんの服をもっと引っ張った。 「でも俺、喧嘩しないって決めたし。この状況で俺が行ったら、絶対あいつらともめるぞ?」 「は? なに言ってんの? 桃香ちゃんのこと、このままほっとくって言うの?」 「喧嘩するなって言ったの、お前じゃん」 「それとこれとは……」  言いかけた私の横を、すうっと大きな体の人が通り過ぎた。 「柿沢先輩?」  見ると柿沢先輩が桃香ちゃんを守るように、三人の前に立ちふさがった。
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